寝付けぬ夜

マンションの窓から、黒いアスファルトを轟音を響かせながら走る、一筋の流れ星のような光を見ている。

その背景には、遠くのビルの窓明かりが星屑のように広がっていた。




寝つけずに、秋口の夜の様々な音を追いかけていると、時折おかしな感覚に襲われる。


脳の中で、音が物体となり、空間を飛び回る感覚。

例えば、星の瞬きのような虫の鳴き声が、秋風に乗って、私の肌を指先でそっと弾くように撫でていく。そして、夜空いっぱいに拡がった、虫の鳴き声の中を、トラックの轟音が1本の光の塊になって、それを蹴散らしていく。

音、つまり空気の振動が物体になり、光を帯びて絵画にまで変容していく様は、私の表現力ではとても表しきれない。



虫が鳴く声と秋風に、もどかしさを覚えながら、また目を閉じる。



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